ライブハウスオーナーのブログ

ライブハウスを運営するオーナーのブログです。私と淡路明人くんにも手伝ってもらいながら、運営をしています。

音楽家としてのアーティストについて考えてみました。

私はアーティストというと、幅広い意味での表現者を指す言葉だと思っています。自分たちの身の回りに在るものは、総てあらゆるアーティストが形にしてきたものです。ものすごく緻密な計算の上で出来上がったものもあれば、ふんわりと現れたものもあるでしょう。それらが組み上がる工程を知らないままに日々恩恵に預かっているのは、とても贅沢で、且つ非常にもったいないような気に時折なることがあります。道具などの物として目に見えるものはもちろんなのですが、ここで語りたい目に見えない音楽というものについては特に気になってしまいます。
音楽は、人の声や楽器の音、リズムやテンポなどの沢山の要素を絡み合わせて出来た、不可視で不思議な存在です。個人的に好きな分野はJ-POPで、これぞという曲と出会う時はテレビやラジオから流れてきた瞬間脳天に雷が落ちたように痺れ、聴き進めている間中鳥肌が立ち続けているという劇的なパターンが間々あります。先入観無く無防備な状態で受け入れているので、このような状態になるのでしょう。自身のような凡人からすると、到底考え着かないような感覚があって音を奏で組んでいくのだろうから、その現場が見てみたいとつい情報を集めてしまいがちなのですが、努力の工程を剥き出しにするのはともすれば野暮なことなのかもしれません。そう考えると、アーティストという存在にはある程度空想の余地があることが魅力のひとつであるようにも見えてきます。メロディに感動して1曲を繰り返し繰り返し聴き続けたり、じんわりと歌詞に共感しながら夜明けを迎えたり、希望を貰って苦しい時を乗り越えたり…音楽を聴いたことで自分の中から生み出された沢山の感情や想い出が、現在までの私を形作っています。
私は音楽を、心を健やかに活かしていく為の心のお手入れツールだと捉えています。極端な表現かもしれませんが、出会った瞬間から死ぬまでの間、曲は誰よりも自分に近く寄り添い続けてくれる存在になるのです。感性を刺激し生活を支えてくれる様々な分野のアーティストへ感謝の念は絶えませんが、とりわけそんな出会いを与えてくれる音楽家の方々には特に深く感謝したいです。